写真の中のポックさんと、共に集まった自助グループ(以下SHGと呼びます:Self-Help-Groupの略)の11人のメンバーたちにとって、この日はとても大切な日でした。

これまで数ヶ月に渡り、お金の管理、読み書き、責任、貯蓄の概念、起業についてのトレーニングを受けてきた彼女たちが、ホープのマイクロクレジット事業から初めて融資を受ける日だったのです。
小学校も卒業していないポックさんですが、ゆっくりと、そしてしっかりと、他のメンバーに向けて契約書を読み上げました。そして、一人ひとりがホープ・カンボジアのスタッフ、リートさんから資金を受取り、契約書にサインし、拇印(ぼいん)を押しました。この日彼女たちは大きな一歩を踏み出したのです。

当の本人たちでさえ、トレーニングを受ける前はこのような日が来るとは想像もしていませんでした。ホープのマイクロクレジット事業から融資を初めて受ける人には約50ドルが貸し出されますが、中にはこれほどのお金を手にしたことがない人もいます。このお金は一年以内に1.5%の利息をつけて返すことになりますが、これまで高利貸しからお金を借りるしかなく、ずっと身を滅ぼすような返済に苦しんできた彼女たちは今、受け取ったお金を大事にしまいながら、笑顔で安堵しています。
「豚を買い、大きく育てて市場で売る」、「お店を始める」、「ビジネスに必要な道具を購入する」・・・など、資金の使い道についてのアイデアは様々ですが、それぞれのアイデアが実現可能かは、ホープ・カンボジアのスタッフとグループのメンバーたちとで、しっかりと話し合ってきました。

ホープのマイクロクレジット事業では、女性たちが資金を有効に活用し、自立するための力をつけることを資金の融資以上に大切にしています。そのため、この事業ではすべての融資希望者にSHG(自助グループ)への参加を義務付け、グループで毎月ホープのスタッフとミーティングを行い、貯蓄と会計、ビジネス立案と運営等について学びます。またメンバーはグループ結成時から、月々少しずつ3ドル程度の緊急基金の積み立ても行います。わずかでも貯蓄の習慣を身に着けるだけではなく、万が一返済できなくなったり、メンバー自身や家族が病院にかかるために必要な場合、この基金からお金を借りられるのです。
このようなグループでのトレーニングと実践をとおして、お互いを励まし支えあい、一人ひとりが返済できなくなるリスクを減らし、また再び借金地獄に陥らないよう、力をつけるのです。

この日のミーティングの終わりに、グループのリーダーで簿記係でもあるピッチ・パーさんが帳簿を確認し、これまでグループで積み立ててきた貯蓄額を発表しました。貯蓄額が200ドルを超えると聞き、これまで貯蓄の概念もなく、お金のやりくり等についての知識もなかった彼女たちは、お互いの努力と協力の成果と、いざという時の備えができたことを笑顔で喜びました。この達成感と喜びも自立への確かな歩みとなるのです。

長年ホープ・カンボジアは300を超えるSHG(自助グループ)を立ち上げ、1,000以上の家族にマイクロクレジット事業による資金融資をしてきましたが、これまでに返済途中で脱落したグループはありません。より多くの女性たちが読み書きできるようになり、家族は持続的に現金収入を得られるようになりました。将来のためにお金を貯め、子どもたちも小学校より上の学校へ進学できるようになっています。

ホープはこれからもマイクロクレジット事業を通してカンボジアの人々を支援していきます。今後も随時経過をご報告していきますのでどうぞお楽しみに。