ホープが水供給と保健衛生事業を進めている事業地に、エチオピア南部のツァイテという地域があります。ここに住むイヤスおじさんのお母さんはツァイテでも最高齢ではと言われているおばあさん。親子4世代で仲良く暮らしています。くしゃくしゃの笑顔が眩しいこのおばあさんは、持ち前の元気と明るさで誰からも慕われ、尊敬されています。私が村を訪れた際も全く言葉の通じない私にも美味しいお芋やお茶を振舞ってくださり、自分の写った写真を楽しげに眺めていました。

 

村の人たちは尊敬の意を込めて、このおばあさんを「ツァイテアヨ (ツァイテの母)」と呼ぶそうです。エチオピアにも日本と同様に年長者を敬う文化が根強く残っています。村の年長者の男性が槍のような杖を持っているのもその文化のひとつ。村を支え、子孫を残し、その伝統を後世に伝えきた男性がその杖を持つことを許されているのだそうです。

 

日本女性の平均寿命は87.14歳。男性も80.98歳と、世界に誇る長寿大国となったこの国では、現在国民の4人に1人が65歳以上の高齢者と言われています【1】。一方、エチオピアではその65歳が平均寿命です【2】。平均寿命が40代前半だった1980年代と比べれば寿命も伸びていますが、今でもツァイテアヨのように自分のひ孫の代まで見られることはなかなかありません。

 

平均寿命が低い理由は多々ありますが、その1つに高い乳幼児死亡率があげられます。エチオピアでは子ども1000人中、平均59人が1歳を迎えられずに亡くなります。5歳までの幼児死亡率は1000人に対して88人と、世界平均(31.7/1000)を大きく上回っています【3】【4】。WHOはお母さんたちの妊娠・出産に関する保健知識が乏しいこと、乳幼児の下痢性疾患などを原因としています。
医療設備へのアクセスが乏しいツァイテでは今でもそれぞれの家で出産しています。
ホープはツァイテでの事業の中で各家庭への家庭訪問を行い、母親への保健衛生教育を行ってきました。水供給システムの建設によって安全な水が手に入るようになった今、少しでも出産のリスクを減らし、正しい保健衛生知識で子どもを産み育てることができるようにホープも努力を続けています。

 

子どもだけでなく、大人にとっても安全な水はとても大切です。この水が下痢性疾患などの病気を予防し健康を保ち、長生きする第一歩となるからです。敬老の日を前に、将来ツァイテアヨや村の長老たちのように立派で元気なおじいさんやおばあさんがもっとツァイテにも増えてくれればとホープスタッフの私たちも思わされます。

 

【1】Statistical Bureau, Statistics Japan
【2】The World Bank, Ethiopia Life expectancy at birth, total (years) (2015) : 64.58
【3】WHO Regional Office for Africa, Africa Health Observatory
【4】The World Bank, World Mortality rate, infant (2015) : 31.7