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りなさんがカンボジアで過ごした一ヶ月

HOPE-JP • Oct 11, 2019
私はホープ・ジャパンのインターンとしてこの8月、カンボジアで一ヶ月を過ごさせていただきました。 様々な体験を通し、とても多くの貴重な人生の教訓を学ぶ一ヶ月間となりました。

今回のカンボジアが貧困問題に直面している地域への初めての訪問でした。「貧困問題を支援するために自分に出来る形で少しでも力になりたい」という思いがあったこと、現地の実態やホープの事業が人々の生活にどのような影響を与えているのかを見ることを目的にこのインターンシップに参加しました。また、ホープの事業内容は大まかには理解していましたが、この経験を通して理解をより深めたいとも考えていました。
インターネット上で情報を収集できる現代社会は素晴らしいと思います。しかし、現地でしか感じられないことや気付きは必ずあるはずです。この便利な世の中だからこそ、現地に足を運び、実際に現実を自分の目で見ることに大きな意味があると考えています。
この経験の後に、人生に対する新しい視点を得られればいいなと考えていましたが、カンボジアでの一ヶ月の生活は、想像していた以上のものを私に与えてくれました。

私はホープ ・カナダからのインターン、レイチェルと共に約25日間をポーサット州で過ごしました。一週間ごとに異なる村の学校に滞在し、最初に訪れたのはリアム・レイ村の小学校です。私たちの主な仕事内容は、この村の家族、学校での畑仕事や建設作業の手伝い、こどもたちに英語を教え交流することでした。この村に滞在している間、井戸を使用している家族を訪問する機会があり、どの家族も私たちを温かい笑顔で迎えてくれました。初めに訪れた家族の母親であるシェム・プンさんは、「きれいな水のおかげで多くの種類の作物を育てられるようになりました」と、ものすごく嬉しそうに話してくれました。今では食料不足を心配することなく、好きなだけのものを食べられるようになったことに、家族みなが幸せを感じていると言います。
二週間目に訪れたのは、クラバン地区のタ・デイス小・中学校です。主な仕事内容は一週目とそれほど変わりませんでしたが、校庭にレンガ造りの花壇建設が新しく加わりました。作業は教師を中心とした地元のボランティアによって行われ、最小限の道具しかないにも関わらず、彼らの作業は正確で、花壇は美しく仕上がっていました。セメントを一から作る方法やレンガを積む作業といった、新しい作業工程も教わり、とても貴重な経験となりました。この週の木曜日にはオロンチョン村という別の村に移り、乾季稲作農業の責任者をしている方の家族と共に二日間を過ごしました。田植えや稲の収穫は全て手作業で行われており、やや大変ではありましたが、現地の人々と一緒に働けることに大きな喜びを感じました。「乾季稲作プロジェクトが生活に大きな変化をもたらしてくれた」と嬉しそうに話す彼らの姿を思い出すたびに、すごく幸せな気持ちになります。
最後の週に訪れたのはアンクロン村の中学校です。この村での仕事も同じような内容でしたが、最大の違いはこの村のこどもたちとは、わずかながら言葉を交わすことが出来たことです。それまでに訪れた学校でも、こどもたちと触れ合う機会は多くありましたが、いずれの学校でも言葉はほとんど通じませんでした。お互いの言語を理解できず、困難なことは多々ありましたが、それでも私はこどもたちや現地の人々と共に素晴らしい時間を過ごすことができました。メッセージを伝える際に非言語的コミュニケーションは役立ちましたが、人と人とが繋がるときにおいては、互いを知りたい、理解したいという気持ちが最も重要な要素なのではないかと考えています。私たちが校庭などで作業をしていると、こどもたちはいつも手伝ってくれました。なにをするにも楽しそうな彼らの姿から学ぶことは多くありました。こどもたちと一緒に多くの時間を過ごすことで、私は自分の気持ちや感情に、より素直に向き合えるようになっていくのを感じました。共有できた時間は長くはありませんでしたが、彼らとの間になにか特別な絆が生まれたような気がします。アンクロン中学校のこどもたちはクメール語でいくつかの言葉と私の名前の書き方を教えてくれました。言葉を交わせたことにより、彼らとはさらに太い絆で結ばれたように感じました。
午後はいつも、滞在している学校でこどもたちに英語を教えることが日課になっていました。彼らの学ぶ姿勢と意欲には、日々感心させられました。彼らの学習環境は決して快適で理想の環境とはいえませんでしたが、彼らを見ていると良い学習環境を作り出すのは、立派な建物や快適な空間ではなく、そこで築かれた文化ではないかと思いました。
ポーサット州での最終日、私たちはホープの支援がまだ行き届いていないビール地区に住んでいる家族に会いに行きました。きれいな水がある家族とない家族とでは、生活状態に明らかな差がありました。私はカンボジアを訪問するまで、安全な水が人々の生活に与える影響を理解していたようで、本当の意味では理解していなかったように思います。たった一つの井戸が、人々の生活をこれほどまでに変えられるという現実を目の当たりにするのは、正直なところショックでした。この経験を通して、改めて安全な水の重要性、そしてそれに秘められた多くの可能性を実感することができました。

『5日おきに1回から1日5回。』盲目の男性が口にしていたこの数字は、井戸を受け取る前後での入浴できる頻度です。彼は今「とても清潔に感じる」と嬉しそうに話してくれました。私にできることはほんの小さなことかもしれませんが、彼のような人が一人でも多くなるように、自分にできることをしていきたいです。
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