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安全な水が開いた新しい扉

HOPE-JP • Sep 14, 2022
安全な水が開いた新しい扉

2022年8月、カンボジアのスタッフがポーサット州に暮らすトック・ウエンさんを訪ねると、彼女はいつもと同じように照りつける日差しの中、畑で農作業に励んでいました。


ホープがウエンさんと出会ったのは今から20年ほど前でした。夫を亡くし、一人で子ども2人を育てていた彼女は近所の人の紹介で日雇いの仕事をしていましたが、一日の収入は日本円にして約50円。子どもたちに食事を満足に食べさせられないほど、生活は困窮していました。


安全な水で生活を変える土台を作る

毎日水汲みに時間と体力を奪われ、家計を支えるために働き、一日を乗り切るので精一杯だったウエンさんが、ホープの水供給支援を受けたのが2004年。家の近くに井戸が作られ、安全な水がいつでも手に入るようになりました。


ホープの支援は支援対象の人々が確実に貧困から抜け出せるよう、水供給から始まり、ひとり一人の生活状況に合わせた包括的な支援を行っています。まずは安全な水を供給することで、危険な水の使用が原因で起こる下痢性疾患を予防し、健康状態を改善します。

安全な水を使用することでウエンさん一家の健康状態も改善しました。彼女はその後、野菜の収穫量を増やす家庭菜園サポートや広大な農地を耕すためのアニマルバンク、SHG(Self Help Groupの略称)とよばれる女性の自助グループプログラムと、次々とホープの支援を活用し、自立へのステップを登っていきます。SHGで小規模ビジネス起業のトレーニングを受け、2012年には自宅近くの幹線道路沿いに雑貨店を開きました。当時のウエンさんは「家も新しくできたし、子どもも学校に通えるようになったんです」と、明るく喜びに満ちた顔で話してくれました。


受け身ではなく、いつでも積極的に


ウエンさんが貧困から抜け出せたのは、ホープの支援があったからだけではありません。自立するためには与えられるだけでなく、自ら主体的に行動するオーナーシップが重要なカギとなります。

彼女は支援されるだけでなく、今の状況を打破したいという強い思いを持ち、自分の力で積極的に考えて行動に移してきたからこそ貧困から抜け出せたのです。


あれから18年 今も幸せです


安全な水が手に入ったことがきっかけで新しい扉が開き、ウエンさんの生活は好転していきました。出会いから約20年が経ち、彼女を取り巻く環境も変化しています。

2人の子どもは独立し家庭を持っています。カンボジアの祝日にはウエンさん宅に家族が集まりますが、お隣のバッタンバン州に住む息子家族を、彼女もときどき訪問しているようです。

ウエンさんは今、いとこと2人で暮らしています。営んでいた雑貨店は新型コロナの影響で客足が遠のき、2020年に閉店しましたが、その後は栽培した野菜を市場で販売して生活をしており、二人で暮らすには十分な収入になっているそうです。

「今の自分が信じらせません!ホープの井戸を受取ってから私の人生は大きく変わりました。水が原因で病気になることもなくなり、体の調子も良くなりました。今では病気と言えば、寒くなると風邪をひくくらいです。すぐに治ってしまいますが(笑)。何もないところから十分すぎるほど豊かになり、息子と娘のより良い未来を作ることができたと思っています。」

20年を振り返り、ウエンさんはそう語ってくれました。

今のウエンさんの楽しみは、子どもたちの生活を見守ること。

「よく電話もくれますし、車を持っているのでときどき顔を見せに来てくれます。二人とも仕事も順調で、不自由のない生活を送っています。それで私は十分幸せです。」

水支援を受けた現地の人々の声」はこちらからご覧いただけます

皆さまからのご寄付によりカンボジアでの水供給事業は支えられています。

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