フィリピン、エチオピアはともに有名な多民族国家です。
エチオピアには、80以上の部族がいると言われ、それぞれが独自の文化と言語を守ってきました。フィリピンにいたっては、一説には200近い民族が一国に共存していると言われています。ホープのような地域開発を担う団体にとって、現地の言語や文化、習慣を尊重することはとても大切です。
では、言語や文化の違う国々でホープはどのように活動しているのでしょうか。

 

エチオピア:クタ郡の水供給と保健衛生改善事業

ホープはエチオピア南部諸民族州のボンケ地区で水事業を進めています。今年度は、ボンケ地区の最北端に位置するクタ郡で活動を行なっています。

住民は今でも伝統的なかやぶきの家に住み、農業をしながら生活しています。エチオピアの公用語はアムハラ語です。しかし、クタに住む人々のほとんどはガモ語と呼ばれる現地の言葉しか話しません。最近ではガモ語の教科書ができたため、子どもたちはガモ語の書き方を学びます。それでもなお、住民の識字率は低く、特に女性は20人に1~2人しか読み書きができない地域もたくさんあります。そのため、村で保健衛生の講習をする際には、ガモ語を話せるスタッフが、紙芝居などを用いて、文字を使わず説明するようにしています。

事業が始まると、ホープのスタッフは必ず村に泊まり込みます。水も電気もない村に住むのは大変です。しかし、村人と共に生活することで、村の生活やしきたり、文化などを理解し、村人と協力して事業を進めることができます。先進国の価値観を押し付けることはしません。村の文化を尊重した事業展開が地域開発には欠かせないからです。

>>> クタの子どもたちがガモ語で歌う映像

 

フィリピン:少数民族を尊重した大学教育

フィリピン、ミンダナオ島にあるパムラーンセンターは、急速に消滅しつつある先住民族の文化を守る人材を育成するため設立されました。パムラーンセンターでは、先住民族の若者が大学の学位を取得するだけでなく、独自の文化に誇りを持ち、学生同士がそれぞれの伝統文化や言語を尊重し合う場となっています。

ほとんどの学生は入学して初めて、自分たちの言葉や文化、伝統的な衣装が美しく魅力的であることに気づかされます。先住民族の若者の多くは、少数民族であるがゆえに社会から疎外されたり差別を受けたりしてきました。そのため彼らは自分たちの文化に誇りを持てなくなり、独自の言語を使わなくなります。こうして伝統が継承されず文化が失われていくのです。

しかし、パムラーンセンターで同じような境遇の若者と出会うことで、多くの学生が文化を守るため、自分たちにできることを学びたいと考えるようになりました。在学中は先住民族の文化への理解を深め、伝統を守るための知識や技能を身に着けます。卒業後は先住民族のコミュニティーなどで2年間ボランティアとして働き、その後は自身の出身コミュニティーに戻り教師や開発プロジェクトのリーダーとして伝統の言語や文化を継承していけるよう活動しています。