さまざまなものが急激に進化するこの世界では、新しいものが生まれる一方、消えていくものもあります。生き残るために強くなり、または生き残るために変化し、時代に適応することを学びます。しかし、残念ながら貧困が原因でこれまで脈々と受け継がれてきた伝統や色鮮やかな文化が消えてしまうこともあります。これは世界中の先住民族が置かれている状況であり、ホープが支援するフィリピンの先住民族も例外ではありません。

8月9日は世界の先住民の国際デー。今月はフィリピンの先住民族を支援する、パムラーンセンターの設立についてご紹介します。

ホープは30年にわたりフィリピン先住民族コミュニティーの自立を支援してきました。安全な水の供給からスタートし、持続可能な農業、教育、社会問題を改善するための起業のサポートなど、幅広い支援を行っています。さらに10年ほど前からは、パムラーンセンターで学ぶ先住民族の若者たちへの支援を始めました。

 

フィリピン先住民族の次世代を担う若者のための大学「パムラーンセンター」の創設者、ベンジャミン・アバディアーノ氏(以下、ベンさん)。ベンさんがフィリピンの先住民族に興味を持ったのは大学生の時でした。同じフィリピンに住んでいるのに、これまで先住民族について聞いたことがなかったベンさん。彼らについてもっと詳しく調べようとしても資料がないことに驚いたベンさんは、自ら彼らの元を訪れ、研究を進めていったのです。

 

それからのベンさんの行動力は目を見張るものがありました。先住民族と一緒に7年間を過ごし、それぞれの部族が独自の文化、伝統、言語を持つことを発見しました。しかし、一方では先住民族が社会から疎外され、貧しい生活に疲弊した末に、彼らの誇りを奪われ、伝統や文化が急速に消えていく悲しい現状を目の当たりにしました。彼らは絶滅寸前まで追い込まれていたのです。


ベンさん(中央の男性)

絶滅の危機に瀕した先住民族の伝統や文化を守るためにはどうしたらよいのか・・・ベンさんは先住民族の人々と何度も話し合いを重ね、民族と社会との架け橋になる人材を育てる教育が必要だという結論に達しました。先住民族の若者たちに自分たちの伝統・文化を守るための知識や技術を身につけてもらう。こうして、パムラーンセンターが創立されたのです。

 

パムラーンセンターではフィリピン先住民族の若者たちが文化を守り、極度の貧困から抜け出せるよう、実践的な知識や技術を教えています。創設以来、100人以上の学生が学士号を取得し、フィリピンのみならず世界で自らの道を切り開き、彼らの伝統文化についての啓発活動や保護活動を行っています。この成功は自分たちの置かれた現状を受け入れ、社会と協調して部族を発展させていくという、パムラーンの教育方針が活かされた結果ではないでしょうか。

 

パムラーンセンターは、今では世界中の人々から支援を受けています。さらにフィリピン先住民族のコミュニティーは、先住民族同士の連携を高めるために共同体を設立し、パムラーンセンターも積極的に支援をしています。ベンさんとパムラーンの卒業生たちも先住民族の地位向上と現状の改善のため、また民族の次世代を担う人材の育成に力を注いでいます。

パムラーンとは先住民族の言葉で「苗床」を意味します。この言葉どおり、多くの若者がパムラーンで大きく育ち羽ばたいていくことを願い、名付けられました。ベンさんは今でもパムラーンで教えており、卒業生と先住民族のコミュニティーを支援しています。また、パムラーンを巣立った生徒たちも出身部族の保護や発展に大きな役割を果たしています。

 

教育は希望です。パムラーンセンターなど、ホープのフィリピンでの活動に興味を持たれた方は、活動映像「The Greatest Gift」をご覧ください。

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