ユニセフは2018年の報告書にて、年間540万人の子どもが5歳を迎える前に亡くなっていると発表しました。
これは1日に約1万5,000人、およそ5.8秒にひとりが命を落としている計算になります。この25年で大きく改善されましたが、未だに5歳未満児が亡くなる原因の多くが、安全な水や正しい保健衛生知識、ワクチンがあれば防ぐことができるものといわれています。
4月7日は国連によって制定された「世界保健デー」です。この機会にもう一度世界の実情に目を向け、またその問題に対するホープの取り組みをご紹介いたします。
ホープが活動している国のひとつがエチオピア連邦民主共和国です。
急激な経済発展に注目が集まっていますが、一方で拡大する貧富の格差が大きな社会問題となっています。
都市部では95%以上の家庭に安全な水が供給されていますが、農村部では未だに45%近い住民、およそ3900万人の人々が汚染の危険がある水を使用しています。トイレが整備されていない地域も多く、未だに国民の3人に1人 (32.9%) は林などの屋外で排泄している現状です。 不衛生な生活環境により病気になっても、僻地には薬の備蓄や設備が十分な診療所が少なく、救えるはずの命が失われている悲しい現実があります。実際に5歳未満で亡くなる子どもの死因のほとんどは、予防あるいは治療可能な、出産時の合併症、肺炎、下痢、またはマラリアなどといわれています。
手軽に医療サービスを受けられる日本とは異なり、僻地の村では「正しい保健衛生知識を身につけ病気を未然に防ぐ」ことが何よりも重要なのです。
ホープはこの問題を解決するため、安全な水の供給に取り組んでいます。安全な飲み水は下痢症などの病気を防ぐために不可欠です。しかし、その水を飲む手やコップが汚れていたら、衛生的なトイレがなかったら、手洗いの習慣がなかったら、せっかく安全な水があっても健康被害を止めることはできません。
そこで、ホープは水事業と並行して正しい保健衛生知識を伝えることにも重点を置いています。
ホープスタッフもいつまでも現地にいられるわけではありません。そのため、2年の事業が終わった後も継続して保健衛生知識が伝えられていくよう、現地の診療所と連携が重要です。情報を共有し研修に参加してもらうなど、連携体制を築いています。
僻地の診療所は設備や薬不足のため十分な医療行為が行えないことがありますが、現在、世界保健機関(WHO)は「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ (UHC)」というテーマのもと「誰もがどこでも保健医療を受けられる社会」の実現を目指しています。その甲斐あってか、事業地近くのカシャソ診療所では今月(4月)から設備や医療スタッフが補充され、水起因の病気にも対応できる医薬品や出産に必要な医療器具が新たに導入されました。
ケチャセンガ診療所
カシャソ診療所
僻地のこの村でも「5.8秒」という数字を改善しようと多くの人々が日々努力しています。事業が終了しホープが撤退しても、住民が地元行政と共に問題に立ち向かうことができるよう、ホープがその礎を築くお手伝いをしています。
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