緊急帰国から1年半、再びエチオピアへ
事業地ではこの一年半の間に、ボンケ地区で行っていた水供給事業が終了し、2021年2月からはオイダ地区で女性の自立支援が始まっています。
駐在員は事業統括者として、日本に帰国してからも現地スタッフと連携し、事業の進捗を把握したり、情報を共有したりすることも必要です。
そのため現地と定例会議が行えるようオンライン環境を整え、何度もオンライン会議を行いました。しかしエチオピアはインターネットが不安定なうえに遮断されることもあり、思うように現地の詳細を把握できず、結局はメールや電話で情報を共有し、事業を統括していました。
本来であれば事業地に滞在し、現地スタッフや住民たちから直接話を聞きながら事業を進めていたはずでした。それができなかった一年半。現地にいるからこそ分かる大切な事情や細かな変化があります。今回のこの一時帰国で初めて遠隔で事業を統括し、現地にいることの大切さを改めて思い知りました。
ここからはエチオピアへ出発直前の駐在員の率直な気持ちと、現在オイダ地区で実施中の女性の自立支援事業の今をお伝えします。
小野寺 君成(事業統括責任)
「オイダ地区での女性の自立支援事業は2021年2月に開始し、すでに多くの成果が現れ始めています。事業地からの報告書や電話でのやりとりだけでは事業を十分に把握したり、管理したりすることに限界を感じていました。ようやく事業の進捗や成果を直接確認できること、そして現地のみんなに会えるのが待ち遠しいです。」
野澤 朱美(事業統括補佐)
「一時帰国してからの一年半、事業地の状況は現地スタッフから提供されるものを通してしか知ることができず、ずっともどかしい思いでいました。ようやく再渡航が実現し、新しい事業地をタイムラグなしに見て確かめることができます。今後は事業地の人々の様子をリアルタイムで、皆様により詳しくお伝えしていきたいと思います。」
事業地の今
今年の2月からオイダ地区で実施されている女性の自立支援事業。事業開始にあたり、実情をより詳しく把握するため、5月にオイダ地区の女性538人を対象にベースライン調査を実施しました。その結果、オイダはこれまでの事業地と同様に安全な水がなく、非常に貧しい地域であるとともに、他の事業地と比べて女性に対する差別が激しい地区であることが分かりました。
調査に参加した女性の95%は身体的・言葉による暴力を受けたと回答。一方で、これまでに男性と一緒の集会に参加したことがある女性は17%と、多くの女性が暴力を受け、地域の社会活動にも参加できていないことが明らかになりました。
現在ホープは、暴力を受け、社会的・経済的に不利な立場に置かれている女性たちが、そのような状況から抜け出す力を身に付けられるような研修を行っています。
例えば貯蓄について教えるときは、まずは女性20人でグループを作ってもらい、「貯蓄とは何か」から教えます。これまで貯蓄をしたことがない、聞いたこともない人は、当然貯蓄がどんなものなのかを知りません。そして、計算や記録などを学びます。
オイダの女性たちも、今では週に一度のグループ集会で各自5ブル(15円)ずつ貯蓄することが習慣になってきました。貯蓄を始めてから4カ月のグループは、貯蓄額が1600ブル(4800円)になったそうです。一人ではなかなか貯蓄できませんが、グループの仲間と一緒に決まった日に貯蓄をすると決めると、みんなで頑張って続けていけるんですね!
研修を受けた女性たちは学んだ知識を生かし、貯蓄を元手にして自分たちで小さなビジネスを始めます。この時点ではまだ小さな一歩ですが、自分で収入を得ていくことで自信を取り戻し、自立への力強い歩みを進めていきます。
これから女性たちが地域の中でどのように変わっていくのか、今後もお伝えしていきます。
今後は駐在員2名がエチオピアから様々な情報を発信していきます。引き続き、事業地の女性の変容を見守っていただければ幸いです。