ホープが活動するカンボジアの農村部では、多くの家族が農業を生業としています。しかし作物の栽培に必要な水がない、土地がやせているなど困難が多く厳しい環境で生活をしており、十分な食料・収入を得ることが難しい現状です。
そんな中、ホープの「アニマルバンク」から一頭の牛が農家に届けられました。皆さまの寄付によって購入されたこの牝牛(めうし)が、農業を営む人々にとって重要な存在であることをご存知でしょうか?
この牛がどのように家族の生活を変えていくのかをご紹介します。
ホープがカンボジアで実施するアニマルバンクは、自分たちでは家畜を買えない農家の人々に牛を貸し出し、牛の力を借りて農作業をすることで、作物の収穫量と家計の収入の増加、経済的自立を目指します。
皆さまからの寄付でホープが牝牛を購入し、約18ヶ月間、農家に貸し出します。長期間貸し出すことで農業の規模の拡大と持続的に収入を得られるようになることを目的としています。牛の持つ力が家族の未来を大きく変えるのです。
2010年からこれまでにアニマルバンクは252頭の牛を届け、農村のコミュニティを支えてきました。
アニマルバンクから貸し出された牛は、農業を営む人々の生活に大きな変化をもたらします。牛は人間の何倍もの速さで力強く畑を耕し、さらに牛が生み出す自然の肥料によって土壌が豊かになり収穫量が増加します。増えた収穫物を市場で販売することで、家族は十分な収入を得られるようになり生活が安定します。
そして牝牛は新たな命-子牛を生みます。この子牛は家族の所有物となり、自立に向けた大きな一歩になります。18ヶ月が経過し、子牛が乳離れをすると母牛は次の家族に貸し出され、このサイクルは6~7回繰り返されます。こうして一頭の牛が、何年にもわたって複数の家族を支える力になるのです。
ホープは長年にわたり、カンボジアで幅広い支援を展開してきました。水の供給をはじめ、教育や農業支援など地域に根ざし、家族の自立や地域の活性化を目指して活動をしています。その中でもアニマルバンクは、農家の自立を直接的に支援し、持続可能な未来を築く重要な事業です。
アニマルバンクは動画でもご覧いただけます。
クローセン・ノブ村に住むトーチさん一家は、アニマルバンクの支援によって生活が改善しました。
トーチさんと夫のチャンタさん、そして3人の子どもたちは2017年、クローセン・ノブ村に移住しました。移住したばかりの頃は近くに水場がないため作物を育てられず、仕事も見つからないため、チャンタさんはタイの国境まで出稼ぎに行くしかなく、苦しい生活を送っていました。
しかしホープが村に井戸を建設し、家の近くで安全な水が手に入るようになったことで、トーチさん一家はお米や緑豆、トウモロコシなどの栽培を始め、その後アニマルバンクで牛を借りると、牛の力で畑を広げ、収穫量が飛躍的に増加しました。
増えた作物は市場で販売できるようになり、3人の子どもたちは学校へ通えるようになりました。トーチさん一家は「生活が安定し日々の不安がなくなり、家族全員喜んでいます!」と話してくれました。
写真左から:
トーチさん、子牛の「モウモニュ」、母牛
ホープのアニマルバンクは、皆さまのご支援によって成り立っています。一頭の牛が、家族の生活を大きく変える力を持っています。生活が安定し、子どもたちが教育を受ける機会を得られたトーチさん一家のように、私たちの少しの支援が、遠く離れた誰かの未来を変える力になるかもしれません。
ホープの活動は、皆さまからのご寄付に支えられています。
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