2021年に外務省NGO連携無償資金協力を得て開始したエチオピア「オイダ地区における住民参加型水供給事業を通じた女性の自立支援( 2年10ヶ月)」がまもなく1年を迎えます。
ホープはこれまで水と保健衛生改善を目的とした事業を実施してきましたが、この事業は安全な水を得た後の次のステップ、「女性の生活向上」を目指しています。
今回支援を行う女性たちは、毎日水汲みや家事に追われ、家事以外の仕事をする時間や機会がありませんでした。ホープが事業地の女性を対象に実施した調査では、仕事に就けないため貧しく、貯蓄をしている女性は全体の1%、銀行口座を保有している人は一人もいませんでした。また90%の女性が暴力を受けたことがあるなど女性の地位は低く軽視されていることが分かりました。
この事業では地域内に複数の給水所を作り、まずは水汲みから女性を解放することから始めました。そして時間に余裕ができたところで、貯蓄の概念から起業まで、2年間の基礎的なビジネス研修を行います。女性たちは20人で1つのSelf Help Group(SHG)と呼ばれるグループを作り、メンバーで力を合わせてグループで貯蓄をしていきます。いずれその貯蓄を元手にそれぞれのメンバーが小規模なビジネスを始め、経済的自立を目指します。このように女性が力を付け差別を減らしていくことで、女性の地位や生活が向上し、地域の発展に貢献することができます。
今回は、少しずつ成果が出始めたSHGメンバーからの嬉しい声をお届けします。
ウバ・ヤンバラ郡のテスファネシュ・ドラさんは、女性グループに参加して以来、家族の生活の改善にとても前向きに取り組んでいる女性です。
「以前は夫の農業での収入はとても少なく、貯金の習慣もありませんでした。子どもの服や教材を買うときは食事の回数を減らすしかなく辛かったです。現在は鶏卵の販売がうまくいっており、その利益から子どもたちの服などを購入しています。グループ貯蓄を元手に最初に始めた鶏卵の販売が軌道に乗ったので、最近新たに野菜作りを始めました。作った野菜を売ることが目的でしたが、家族も野菜を食べられるようになり、栄養状態も良くなってきました。グループメンバーの多くは、以前は1日に2回しか食事ができませんでしたが、今では収入があるおかげで1日3回食事をとれるようになりました。」
カレ・マロ郡のアスナケッチ・ビヤネさんは、ホープによる研修を受けるとすぐ、グループ貯蓄が貯まるのを待つことなく、親戚から資金を借り、一足先に小規模ビジネスを始めた近所でも評判の女性です。
「以前は早朝に起きて遠くまで水を汲みに行っていました。今では家から歩いて5分の場所に給水所ができたので、水汲みを済ませてから市場に出かけています。月に8回は市場に行き、コーヒー生豆の取引をしています。初めの月は300ブルほどの利益でしたが、2か月後には500ブルの利益が出ました。」
ベレタ郡のメセレッチ・マティトさんは、経済的に恵まれない貧しい家庭で育ち、学校で学ぶことを諦めざるを得なかった女性です。
「研修を通して小規模ビジネスと大学進学へのモチベーションが高まりました。この事業に参加したことをとても嬉しく思っています。もっと一生懸命働いたら、間違いなくより多くの利益を得ることができると思っています。
ベレタ郡のブルティ・エサダックさんは、家庭が貧しく、家族や地域の理解がなかったために学校教育を受けられなかった女性です。
「私は市場で地元のパンケーキ、コチョの販売を始めました。家族の生活を向上させ、今後子どもたちが必要な教育を受けられるよう支援していくつもりです。そして何よりも、地域社会と連携し、女性と女子児童が教育を受け、将来を見通す力を付けられるよう働きかけ続けたいです。」
2年後、3年後の彼女たちの生活がどのように変化していくのか、とても楽しみです。
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