世界にはトイレを使えない人が約20億人います。トイレがない人たちは屋外で排泄をしたりしているのです。それが原因で衛生環境が悪化し、免疫力の弱い子どもたちは下痢を発症。1日に800人以上が命を落としています*。日本に住んでいるとトイレが使えるのは当たり前と思いがちですが、SDGsでも「2030年までに誰もがトイレを利用できるようにすること」がターゲットの1つになるほど、トイレが使えないことは世界でも大きな問題なのです。
*ユニセフ世界トイレの日プロジェクト
ホープが活動するエチオピア南部にもトイレの問題があります。特に思春期の子どもたちにとって、学校に安心して使えるトイレがないのは切実な問題です。トイレに行くのを我慢して健康を害したり、学校に行かなくなったりする子もいるなど、トイレは健康だけでなく、教育の問題にも関係しています。
活動地域で起きているトイレ問題を解決するため、2021年にTOTO水環境基金の助成を受け、カレ・マロ小学校にトイレを建設しました。トイレが完成すると25人の児童で保健クラブをつくり、トイレの掃除をしたり、他の児童に衛生の知識を伝えたりして積極的にトイレの利用を勧める活動をしています。
現在はカレ・マロ小学校と同じ地域にあるヨンギ小学校にトイレを建設中ですが、ヨンギ小学校にも保健クラブが誕生しました!
ヨンギ小学校保健クラブ
結成したてのヨンギ小学校の保健クラブがカレ・マロ小学校の保健クラブからどんな活動をしているのかを学ぶための交流会が開かれることになりました。
同じ地域の小学校とはいえ、カレ・マロ小学校とヨンギ小学校は、歩いていくと山を越え数時間かかるほど離れています。そのため、これまでに両校間の交流はなく、この交流会が初めて他の学校の児童と会う機会になりました。
今回は、ヨンギ小学校の保健クラブ16名がカレ・マロ小学校を車で訪問しましたが、ヨンギ小学校の児童は初めて車に乗る子ばかりだったので、遠足気分でワクワクしているようでした。一方のカレ・マロ小学校の保健クラブは、自分たちの活動を紹介するために、しっかりと準備をして少し緊張した面持ちでヨンギ小学校の保健クラブが来るのを待っていました。
両校の初めての顔合わせは少し緊張した雰囲気でしたが、カレ・マロ小学校の児童が活動内容の発表を始めると緊張がほぐれ、ヨンギ小学校の児童も集中して聞いていました。
カレ・マロ小学校児童の活動発表
活動内容を発表の後は、トイレまで案内してトイレの仕組みや掃除の仕方を実践しながら説明をしました。トイレの横にある手洗い場では、石鹸を使った手洗いをヨンギ小学校の児童にも実際にやってもらいながら、何度も丁寧に教えていました。
初めての他校の見学、初めて見る手洗い方法は、ヨンギ小学校の児童にはとても刺激的だったようです。新しい知識を吸収しようと、真剣に見たり聞いたりする様子が印象的でした。カレ・マロ小学校の児童にとっても自分たちの活動を紹介することで、保健衛生の理解をさらに深める機会になったのではないでしょうか。
トイレ掃除と手洗いの実演
交流会の終了後に両校のクラブを代表し、ヨンギ小学校のマルドキョス・バズガバ君と、カレ・マロ小学校のメルカムネッシュ・メシャシャさんにお話を聞きました。
ヨンギ小学校:マルドキョス・バズガバ君
Q1. 交流会に参加してみて、どう感じましたか?
「楽しかったです。今回初めて、住んでいる村を出ました!石鹸を使って手を洗う方法を教えてもらえてよかったです。」
Q2. 教わった手洗い方法を知っていましたか?
「いいえ、今日初めて知りました。」
Q3. カレ・マロ小学校のトイレを見てどうでしたか?
「足を置く場所は決まっていて、用を足す場所がわかるのがとてもいいと思いました。臭いを逃すためのパイプが屋根の上に出ている仕組みが興味深かったです。
Q4. トイレ掃除の仕方を見て、自分でも実践できそうですか?
「はい。しっかり見たのでヨンギ小学校のトイレもきれいに掃除します。」
カレ・マロ小学校:メルカムネッシュ・メシャシャさん
「ヨンギ小学校の保健クラブの皆さんが、遠くから訪ねてきてくれてとても嬉しいです。今日は皆さんに、トイレを清潔に保つことの大切さと、水を使ったトイレの清掃方法を伝えました。ヨンギ小学校でも、トイレ掃除や保健衛生活動をしっかり実践してもらえたらいいなと思います。」
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