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教育で未来を切り拓く:パムラーンセンターの設立と成果

HOPE-JP • Feb 16, 2023
パムラーンセンター

絶滅の危機にある文化

フィリピンといえば、美しいビーチやバナナの生産地として知られていますが、人口の14%を占める1200万人の先住民族*の暮らしは意外と知られていません。彼らの多くは伝統的農業を営んできましたが、ほとんどの場合、その土地に対する法的証明を持っていません。そのため天然資源へのアクセスが限られ、移住農民の流入によって貧困に追いやられたことで、栄養不良や、高い疾病率・死亡率などの問題に直面しています。

*JICA フィリピン共和国貧困プロファイル 2012年3月

ベンジャミン・アバディアーノ

前列左がベンさん 

貧しさに苦しむ中で、彼らの伝統や色鮮やかな文化が失われつつあります。そんな危機にいち早く気づいたのが、ベンジャミン・アバディアーノ氏(以下、ベンさん)でした。ベンさんは大学時代、同じフィリピンに住んでいながら、ほとんど話を聴いたことがなかった先住民族に興味を持ち、調べようとしましたが、詳しい資料を見つけることができませんでした。そこで彼らを直接訪問し、絶滅寸前にある人々とその文化に出会ったのです。

民族の未来を切り拓くために


部族のリーダー達は、貧困から脱けだす道筋を作り、伝統文化を守り伝える次世代の育成を強く望んでいました。ベンさんは彼らとの対話を重ね、先住民族の若者たちに自分たちの伝統・文化を守るための知識や技術を身につけてもらう高等教育施設を作ることを決めたのです。


こうして2006年、ミンダナオ島のダバオ市にパムラーンセンターが創立されました。同センターでは、在学中の4年間で人類学、社会的起業、持続性のある農業技術、初等教育などの専門科目を学び、各コースの学位を取得すると同時に、独自の言語や芸術などの伝統文化を深く理解し、継承していくことも求められます。学生は卒業後、パムラーンで学んだことを活かし2年間の社会貢献活動を行います。

行動を起こす次世代のリーダーたち


創立以来、100人以上の学生が学士号を取得し、フィリピンのみならず世界で自らの道を切り拓き、彼らの伝統文化についての啓発活動や保護活動を行ってきました。例えばクリンさんの場合、卒業後は、フィリピンの先住民族支援に力を入れ、パムラーンセンターを運営しているアッシシ財団で働き始めました。「生活向上とリーダーシップ育成プログラム」のシニアプログラムオフィサーとして、コミュニティーの起業家、先住民族のリーダー、若い世代の支援者、行政機関、国内外の市民団体など、幅広い人々と連携し、民族の未来を担うリーダー達の育成にあたりました。

クリンさんはアッシシで働きながら、フィリピンの大学でコミュニティー開発の修士号を取得しまし、その後さらに、ベルギーにあるルーヴェン・カトリック大学の文化人類学と開発学の上級修士プログラムの奨学生に選ばれました。フィリピンだけでなく、世界の先住民族のために貢献できるよう、クリンさんは大きく羽ばたいています。

クリンさん

ホープ・インターナショナル開発機構はパムラーンセンターの理念に賛同し、2010年から支援を行っています。


教育はより良い未来を作る希望です。パムラーンセンターなど、ホープのフィリピンでの活動について、活動映像「The Greatest Gift」をぜひご覧ください。

フィリピンでの高等教育支援事業は、皆さまからのご寄付に支えられています。

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