エチオピア南部の南エチオピア州。空港がある主要都市アルバミンチから車で悪路を6時間走らせた先にあるのがウバ・デプレツァハイ地区。
エチオピアと聞くと、豊かな文化や歴史を思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし近年気候変動による災害が増え、自然環境や人々の暮らしが深刻な被害を受けています。過去5年は水害や地滑りなどの自然災害が毎年発生しており、2023年4月に発生した鉄砲水では、農地の53%が被害を受け、620匹の家畜を失い21名が亡くなりました。
近年南エチオピア州で起こる自然災害の原因の一つは、森が減ったことで地面が弱くなり、そこに長雨や集中豪雨が降ることだといわれています。エチオピア政府も対策として2019年から「The Green Legacy Initiative」のキャンペーンを行っており、エチオピア全土に400億本の木を植林するとしています。
ホープがウバ・デプレツァハイで植林を始めたのは2024年4月。事業前の調査では、住民が食料を得るために木を切り、農地を広げていることがわかりました。そこで私たちは植林とあわせて住民たちに環境教育を行い、過度な伐採をせずに食料の確保と森のバランスをとることが自然災害のリスクを減らすために大切であると伝えています。
ホープは、事業地の人々に事業を自分ゴトとして考えてもらう「オーナーシップ」を大切にしています。この植林事業も地域の人々と一緒に進める参加型プロジェクトです。地域で森を育てることを目指し、まずは災害で壊れた苗木の育成場を整備し、住民と2000本の木や果樹を植えています。地元のリーダーや環境保全委員会の人々には、環境保全に関する知識と技術を学ぶ研修を行い、長く森林を守れる体制づくりをしています。
木が成長し、新しい森が広がっていくことで、自然と共に生きる生活の基盤が少しずつ整えられていきます。木々が土を支え、雨水の浸透を助けることで、洪水や地滑りのリスクも減少します。また、果樹の実は地域の人々の食料となり、食料問題の解決にも役立つでしょう。
森を育てるのは時間がかかりますが、この森が地域の人たちの自然災害への不安を和らげ、災害リスクを減らすことで、安心した生活が送れるように願っています。目先の利益ではなく、長期的な視点でホープはこれからも活動を続けていきます。
ホープの活動は、皆さまからのご寄付に支えられています。
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