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ユニークなカリキュラム、先住民の教育に特化した学校

HOPE-JP • Jun 15, 2023

先住民族の「次世代リーダー育成」を目指す

フィリピンの先住民族は、少数民族であるがゆえに社会から疎外されたり、差別を受けたりしてきました。そのため彼らは自分たちの文化に誇りを持てなくなり、独自の言語を使わなくなります。こうして伝統が継承されず、今、先住民族の文化の消滅が加速しつつあります。


フィリピン、ミンダナオ島にあるパムラーンセンターは、先住民族が抱える問題を解決し、伝統文化の継承や民族の発展を率いていく若者に、高等教育の機会を開く学校です。現在ミンダナオ島内外から集まった85名の先住民族(以下「IP」:indigenous peopleの略)の若者が学んでいます。

パムラーンではIPの発展に必要な知識と技術を学びながら、提携するサウス・イースタン・フィリピン大学で初等教育学士過程、社会的起業学士過程、農業経営学士過程の学士を取得できるのが特徴です。「多様な文化の尊重」、「環境に対する責任」、「社会経済の持続可能性」、「自然と精神のつながり」、「地域での奉仕活動」の5つを次世代リーダー育成プラグラムの柱とし、次世代のリーダーとしてIPの置かれた状況を変えていく力を身に着ける研修を開催しています。

ホープは、毎年10名の学生を支援しています。今年支援をしている学生は、全員が初等教育学士過程で学士取得を目指しています。長期休暇や学期末には出身コミュニティに戻って、子どもたちに読み・書き・計算を教え、実践力を身に着けています。卒業後は教師として、先住民族の子どもたちに教育を提供し、次の世代へと文化を継承していくために必要な知識を伝えていくのです。

社会で起こる問題対応力も養成

目まぐるしく変化する社会に対応するスキルもリーダーには重要です。気候変動やソーシャルメディアの健全な使用、SDGsに対する取り組みなど現在社会ですぐに使える対応策を学ぶ授業もあります。

IPのコミュニティを発展させていくには、ときには従来通りのやり方を見直すことも必要です。家計、生計、コミュニティ活動での役割や習慣におけるジェンダーバランスについても、フィリピン国内の識者を招いて議論を進めています。

つながる体験を。次世代のリーダーが集う場に参加

IPの置かれた状況を改善するには、周囲の協力が大きな推進力になります。地方コミュニティでの開発活動や国内でのIPサミットに積極的に参加し、学生は他民族・同年代の若者たちと交流を深めています。先住民族の若者、長老、指導者が集まったIPリーダシップ全国会議では、現在IPが抱えている問題や懸念について、将来に向けて彼らが果たすべき責任や問題の解決について話し合いました。

このような世代を超えて話し合う経験は学生にとって大きな学びになります。パムラーンでは、学生たちが次世代リーダーになるために学びを深め、経験を積むさまざまな機会を提供しています。

フィリピンでの高等教育支援事業は、皆さまからのご寄付に支えられています。

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