横浜インターナショナルスクール(以下 YIS)には、社会奉仕クラブがあります。国内外の様々なコミュニティーのことを生徒が主体的に学ぶ奉仕活動プログラムを通じて、ホープ・カンボジアと協力し、カンボジアの事業地で毎年活動を行ってきました。新型コロナウイルスの世界的流行により2020年から止まっていた活動が再開し、2024年3月、4年ぶりのカンボジア訪問が実現しました。
私たちクラブが現地を訪問することに対して、なぜ渡航費を寄付にしないのかとよく尋ねられます。渡航費を寄付すれば、確かに支援に役立てられるかもしれません。しかし地域社会に直接影響を与えること、そして文化や歴史、ホープの活動を学ぶことが、生徒たちが生涯にわたって奉仕をするきっかけ、願わくはカンボジアでの奉仕活動へのきっかけになってほしいと思い、このプログラムを実施しています。
プノンペンに到着し、トゥールスレン虐殺博物館とキリングフィールドを訪れました。クメール・ルージュによる大虐殺について学ぶことで、カンボジアの人々が耐えてきた恐怖と苦しみを知り言葉を失いました。そこで出会った人々から今でも当時の話を聞くことができます。次の目的地だったホープの事業地ポーサットでも、当時埋められた地雷を撤去した時期を記した看板が残されていて、今でもあちこちに当時の影響が見られました。
この恐ろしい出来事を詳しく知っていくにつれ、ホープ・カンボジアの活動がより意義深いものに感じられ、現地のスタッフは大きな苦しみや困難を経験した後も、カンボジアの農村部で粘り強く献身的に活動を続けていることを知りました。
ポーサット滞在中に一番印象的だったことは、アンクロン小学校で過ごした時間です。クラブのメンバーと現地の子どもたちが交流する機会があり、直接彼らのコミュニティーを支援する体験となりました。子どもたちと一緒に学校の壁のペンキを塗ながらも楽しく濃密な時間を過ごし、短い時間でしたが良いチームワークを築けたと思います。そのため、出会ったばかりの新しい友人たちとの別れの時に、思わず涙を流すメンバーもいました。
学校で作業をした翌日には、農家を訪問してスイカやレモングラスの植え付けを手伝いました。生徒たちがこの経験を個人的な日常の経験と結びつけることで、貧困などの世界的な問題を身近に考えられるようになり、理解を深めることができました。
カンボジア帰国後のYISでの最初のグループミーティングでは、今回カンボジアへ行けなかったメンバーに、現地で体験してきたことを写真を見返しながら伝え、話に花が咲きました。このカンボジア訪問を通じて、クラブに大きな変化が起こりました。それはメンバーたち自身が想像した以上に国際的な視野が広がったこと、そしてメンバー同士の絆や支援活動への思いがより強くなっていたのです。
参加した生徒たち全員が最も印象に残った経験は、アンクロン小学校の子どもたちとの出会いでした。しかし思い出に留まることなく、次の奉仕活動へと生かしていかなければいけません。グループでの話し合いの結果、来年もカンボジアを訪問するための準備を始めることになりました。
カンボジアでの経験を振り返ったグループミーティングでは、生徒たちがこの経験から受けた影響の大きさが伝わってきましたし、グループの活動に対する情熱があふれていました。
「今回のカンボジア訪問での一番の思い出は、現地のコミュニティーを直接支援できたこと、そして彼らと一緒にゲームを通して交流できたことです」
エドヴァルド・ヘランドベルグ(高校2年生)
「このカンボジア訪問を通して、私はより広くグローバルな視野を持つことができました。この旅は楽しいというより、メンバーだけでなく、ポーサットの子どもたちとも絆が深まったような気がしました。私が見て、体験したのはカンボジアのほんの一部ですが、どれもとてもポジティブな印象で、さまざまなことに対する私の見方が本当に変わりました」
キャサリン・アボット(中学3年生)
「トゥールスレン虐殺博物館やキリングフィールドを訪れ、何百万人ものカンボジア国民がクメール・ルージュの圧政によって直面した過酷な歴史を学び、理解することで、大切な人やものを失った事実とともに、カンボジアと私たちの活動に対する新たな視点が生まれました」
コウキ・ヤマカワ(中学3年生)
「学校の壁のペンキ塗りは大変でしたが、それを楽しめたのは子どもたちと接しながら作業ができたからです。おかげで、彼らのために頑張ろうというモチベーションを保つことができ、ユーモアや喜びも感じながら作業ができました。」
ドゥック・グエン(高校2年生)
「カンボジア訪問中、世界的にも重要な問題に取り組むことで他の人々との絆を深める力について学び始めました。他のメンバーと一緒に同じ目標に向かって協力することの大切さを知ったので、私は将来、人と協力し、リーダーシップを発揮できる人間になりたいと思うようになりました。」
ドゥック・グエン(高校2年生)
「現地の食や観光を通して多様な文化に触れることができただけでなく、ただカンボジアを訪れただけでは得られない素晴らしい経験ができました」
コウキ・ヤマカワ(高校2年生)
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